第25話
ああ、懐かしい。
肉だけじゃなく、キャベツが入った餃子。
甘みもあって肉汁が垂れる。
久し振りの浜松餃子だ。
はぁー、これこそソウルフード。
ああ、血液が巡る。
そして、ビールが美味い。
「あはは、慎くん。凄いだらしない顔になってるよ」
「久し振りの浜松餃子で感動しちゃってさ、これこそ、ソウルフードだら」
「そっか、東京にずっといたから懐かしくなったんだね。
それなら、五味八珍にして正解だったかな?
あとは、鰻もいいかなって思ったんだけど…今度の休みに一緒にいこっか」
予定が埋まっていく。
最近は、なかったことだ。
入院をしていたから2年は検査だ、リハビリだと予定はあったがそれ以前は仕事の予定しかなかった。
プライベートの予定が入ったのだって…真恵と一緒だった頃だけだろう。
なんだかんだで、上京してからの20年。
ほとんど、仕事しかしていなかったんだと思うと寂しい人生と言えなくもない。
「ああ、それもいいかもな。たまの気晴らしもいいら」
「うーん、それは誰の気晴らしなのかな?」
ふむ、確かに。
この場合は、これから3食を作る俺の事なのか。
それとも、毎日大変な
はてさて。
テーブルの上には、浜松餃子以外もある。
チャーハンを食べながら、直箸で食べていく。
ぷりぷりエビのチリソース…まあ、エビチリはその名の通りぷりっぷりのエビが美味い。
「美味い!」
「うん、美味しいね」
俺達の語彙力は終わっている。
きっと何を食べても美味いと言いそうなほどに。
いや、五味八珍の総菜は本当に美味しいよ。
美味しいけど、表現力がさ。乏しくて…ホントごめんなさい。
「あー、唐揚げが凄いジューシー」
「これは、温め直して良かったよね…唐揚げは冷めたら美味しくないし」
それには同意だ。
唐揚げは、熱々を食べるのが正義。
「そういえば、五味八珍のラーメン味が変わったらしいよ」
「え、そうなの?」
「聞いた話だと、かなり美味しくなったって」
「そうなんだ、じゃあ行く時が楽しみだ」
記憶の中の醤油ラーメン。
魚介と鶏ガラのスープ。
うんうん、思い出しただけ涎が出て来る。
「ふふ、涎出てるよ」
「あ、やばっ」
思っただけなのに実際に出ていたらしい。
ちょっと、恥ずかしくなってくる。
でも、やっぱり帰ってきたって感じがするな。
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だいぶ、慎の遠州弁が出る様に。
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