第23話

緋音に用意された俺の部屋へ向かった。

中には、何もない空虚な部屋だ。

一先ず、荷物を置く。

着替えは…メッシュ生地のシャツとハーフパンツ。

それ以外は、ワイシャツとネクタイくらいしか入っていない。

ふむ、緋音の事を言えない。

俺も薄着だな。

トランクケースの中身をガサゴソと漁る。

そこの方からパーカーが一枚出てきた。

取り敢えず、これでも羽織っておこう。

病院生活が長かったが、まだ貯金は幾らか残っている。

養育費の支払いなどはない。

その代わり、接触禁止となったから。

私服の買い足しやこの部屋の模様替えもしたいな。

今度、買いに行こうかな。

そういえば、足がなかった。

そうしていると、ちょうどスマホに通知が来た。

清明からだ。

『清明:あの後、兄さんのバイク整備に出しておいたよ』


俺が、高校時代に乗っていたバイクの事だろう。

確か、上京するときに清明が乗れるようにしたんだったか。


『慎:ん?清明は乗らないのか?』

『清明:もう僕は乗らないよ。結婚した時に、バイクは卒業したんだ。逐次整備には出していたけどね』

『慎:助かるわ。今日から緋音の会社の社宅?みたいなとこで暮らすことになったから』


バイクがあれば、少しは出掛けることができるな。

身体は、乗り方を覚えているだろうか。

確か、リバイバルライダーと言うのになるのか。

バイクは、後日バイク屋に取りに行くことになった。

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