第15話
テーブルの上に、お皿に盛ったマカロンとスコーンを運ぶ。
マカロンは、山になっているしスコーンも小盛りになっている。
ティーソーサーに載せたティーカップを用意する。
ティーポットには、ティーコージを被せている。
砂時計もしっかり常備されていた。
緋音は、形から入るタイプなのだろうか?
キッチンの棚には、カクテルに使うシェイカーまで揃っていた。
それに、ジンやウォッカが未開封のまま保管されている。
最後に会ったのは、未成年の頃だから彼女がお酒が呑めるかもわからない。
あまりにも離れていた時間が長かったことを実感させられる。
「お待たせ、砂時計も落ち終わるからそろそろ飲み頃だね」
「慎くん、美味しそうで…マカロン摘まんじゃった」
「それはいいよ、どうだった?久し振りだったから…」
「美味しかったよ」
お菓子作りをしていたのも、20歳頃までだった。
まだ、簡単な物ならレシピを見なくても作れるようだ。
良かった。
高校時代は、会う度に緋音に振る舞っていたな。
「懐かしい感じ…やっと慎くんが帰ってきた気がするよ」
そう言う彼女は、優しく微笑むのだった。
多分、こうして緋音が美味しそうに食べてくれるのが嬉しくて作っていたんだろうな。
あのまま、上京せずに地元に居続けていたらきっと今とは違う人生を歩んでいたのかもしれない。
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