第12話
「はぁ?でかっ」
俺は、緋音に通され彼女の自宅へと来た。
隣りの棟が、会社だそうだ。
デザイナーズマンションの5階…最上階が緋音の自宅なのだとか。
マンション自体が、社宅になっているらしい。
で、最上階はワンフロアまるまる緋音の自宅。
思った以上にデカかった。
「えへへ、凄いでしょ。
美容系の会社を起業したら大当たりしてね。
ほら上がって上がって、ちょっと着替えて来るね」
緋音は、そう言っていってしまった。
俺は、だだっ広いリビングのソファに腰を下ろす。
目の前にあるテレビなんか映画館?って思うくらいに大きい。
天井を見上げれば、大きなシーリングファンが回っている。
お金持ちの家。
俺には、場違いな空間だ。
帰りたい…あー、帰る家がなかった。
実家は、結局宿泊拒否。
結果として、緋音の自宅に来た。
いや、連れてこられた。
どうやら、同棲をするらしい。
まったく、実感がわかない。
でも、言質は取られている。
ていうか、緋音に録音されているとは思わなかった。
強かと言うか、なんというか。
俺は、リビングから辺りを見渡す。
アイランドキッチンが目に入る。
少し覗いてみよう。
IHの3つ口に、オーブングリル。
ここまでのオーブンなら機材があればケーキも焼けそうだな。
高校時代は、パン屋とケーキ屋でバイトをしていた。
一応、どちらも焼くことができる。
そして、大学時代も東京で洋菓子店でバイトをしていた。
それがどうして、商社で務めることになったのか今の俺にはわからない。
キッチンを探索しながら、強力粉や薄力粉を見つけた俺はマカロンを焼き始めるのだった。
…なぜだ。
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