第10話
「おじさん、おばさん…いいえ。お義父さん、お義母さん。慎くんを私に下さい」
「えっ?」と俺の口から漏れ出した。
それは、そうだろう。
急に、緋音が言い出したのだから。
「もう、私。後悔したくないんです。
ずーーーーーと、アピールし続けても振り向いてくれないこの朴念仁さんが誰かに奪われるなんて」
アピールなんてされていたかな?
うーん?
「慎くんが結婚しちゃって私、もう諦めていたんです。
でも、久し振りに会って…離婚して傷ついて…だから私が支えたいんです」
「緋音ちゃんがいいならどうぞどうぞ。
今更…40にもなる息子が出戻ってきても邪魔でしかないもの。
えっと…お父さん《あなた》熨斗はどこにあったかしら」
母さんよ、息子に熨斗をつけようとしないでくれ。
それにして、緋音が俺の事が好きだった…知らなかった。
ずっと仲のいい幼馴染みだと思っていたから。
「じゃあ、行きましょうか。慎くん」
「ん?どこに?」
「私達の愛の巣…と言いたいけどその前に私の実家ね」
俺の意思は、どこかに棄てられてしまったのかもしれない。
恋とか愛とか…全て東京に置いてきてしまったのかもしれない。
ただ、緋音ともっと一緒に居たい。
話をしたいという欲だけはあった。
これは、ただの友愛なのか、それとも…。
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