第9話
俺達は、1階にあるダイニングへと通された。
おやつ時。
ダイニングのテーブルには、随分と年老いて見える両親と清明の子供の頃によく似た幼児が座っていた。
「父さん、母さん。ただいま」
「おお、慎。お帰り。
ん?真恵さんと茉子ちゃんはどうした?」
「あー、もう7年…8年になるかな。
俺、離婚したんだわ」
茉子…娘は、たぶん7歳になる。
最後に会ったのが6年半前。
「慎、お前なにをしたんだ」
父さんが机をバンっと叩きながら立ち上がる。
弟息子…名前知らないや、まあ甥っ子は肩をビクつかせている。
母さんは、溜息を漏らした。
「貴方、お客さんの前よ」
母さんは、俺の後ろにいる緋音に気付いていたようだ。
父さんは、俺の胸倉を掴み掛っている。
「真恵の不倫だよ。
出産前から関係があったみたいだ…茉子は俺の子供じゃないかもな」
父さんの力が、緩み掴む力が抜けていった。
小さな声で、「すまん」と呟いていた。
父さんの後ろからいつの間にか母さんが顔を出す。
「あら、緋音ちゃんじゃない。
久し振りね」
「はい、叔母さん。お久し振りです。
新幹線の車内で慎くん再会してお持ち帰りしちゃいました」
ああ、確かに緋音の車でデリバリーされて来たからお持ち帰りか。
「2人とも座りなさいな」
母さんがとっても嬉しそうに笑みを零している。
なんか不安になるな。
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