第7話

浜松駅の南口を出て、そのまま市営駐車場…駅南地下駐車場へと降りていく。

地下2階。

緋音が、駐車券を専用機に通すと『3000円』の表示が見えた。

駐車してから24時間が経過していたようだ。

つまり、これが上限金額のようである。

緋音は、5千円札を専用機に入れてお釣りを受け取ると駐車券を抜き取り歩き始めた。


「あはは、駐車代もバカにならないよね」

「まあ、丸1日なら仕方ないだろ」

「うん、あ!見えてきた。あれが私の車だよ」


緋音が指差したのは、真っ赤なボディのMINIだった。

彼女は、右のドアを開ける。

外車だから左かと思っていたが右だった。


「ああ、MINIってイギリス車なんだけどイギリスは日本と同じで左走行なのよ」

「なるほど、それで右ハンドルなのか。

外車は全部左だと思ってたよ」


俺は、助手席に乗る。

新車の匂いがする。

高級そうな椅子。

レザーとはちょっと違うけどなんか高級そう。


「ほら座って座って」

「ああ、じゃあよろしく」

「はぁい」


俺は、助手席に座る。

すると、車は動き始めた。

地下をぐるっと回って地下1階へ。

そして、地上へと向かう。

日差しが目に刺さる。

ひづるしい。


「ひづるしいって、遠州弁抜けてないんだね」


どうやら、口に出ていたらしい。

ひづるしいは、眩しいの遠州弁である。

20年近く東京にいたのになかなか抜けなかった。

まあ、郷土愛があると思えばいいだろう。


「たまに出て来るんだよな」

「そうなんだ、取り敢えず慎くんの家に向かうね」


そう言って、緋音は俺の実家に向けて車を走らせた。

まあ、彼女の実家も近所なのだから走り慣れた道だろう。


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