第5話
緋音の事も聞いた。
数年前に、会社を興して四苦八苦しているようだ。
今日は、昨日商談で東京に行った帰りだったらしい。
地元の大学を出て、一般企業に就職。
数年前に転職…起業をしたようだ。
だから、仕事一筋で生きてきたらしい。
実家には、もう住んでいないようだ。
「慎くんは、これからどうするの?」
「どうしようかな、清明…実家に厄介になろうかな」
緋音は、腕を組みながら考え事を始める。
「慎くんは、今までどんな仕事してたの?」
「どんな…営業、経理、商品開発…あとなにしてたかなぁ。
機械修理したり、プログラム組んだりかな」
彼女は、右の掌で顔を覆った。
俺、なんか変なこと言ったかな。
「慎くん、それは1人の人間の仕事量じゃないから。
ワンマン企業だよ」
まあ、ブラック企業だったからな。
1人で何でも出来なきゃ、仕事終われねえんだわ。
「慎くん、私に手を貸してくれない?」
「ん?どういうこと?」
「慎くんなら、即戦力だから私の会社に来てって言ってるの!」
俺は、目を見開いて緋音を見る。
彼女は、うんうんと頷いている。
その顔は、とても笑顔だった。
「うーん、俺で役に立つかな?」
「今まで、それだけの仕事量ができてたなら大丈夫だと思うよ。
慎くん、今日は時間あるよね?
ごはんいこ、ね!」
東京駅を出てもうすぐ1時間半。
15時目前だった。
お昼には遅いし、夕飯には早すぎる微妙な時間だ。
先程、静岡駅を出て…。
『まもなく掛川です。
お出口は左側です。
東海道線と天竜浜名湖線はお乗り換えです。
掛川を出ますと、次は浜松に停まります』とアナウンスが流れた。
もう、数分で浜松に着くのである。
「いいけど、時間微妙だけど」
「うん、1回荷物を置いてから夜に集合…ダメかな?」
「いや、いいよ」
久し振りに会った幼馴染みだし、ゆっくり話をしたっていいだろう。
まあ、東京駅からずっと話続けているけど。
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