第46話

「それで?結局、できる?」


「まぁ、それは造作もないことだが。」




私は今、ただの8歳の女の子。将来陛下の妻になる最有力候補とはいえ、その権限を使うにはまだ力が足りないし、そうしてはいけない。



本来なら、何もできずにとりあえず成人するまで待つしかないけど。



神様自らが、ズルしていいって言うんなら、それを使わない手はないでしょ?




「しかし。」


「うん、そうだね。」




もし、貴族の娘たちを候補として入れたとしても、また殺されたり、排除されたりしてしまうかもしれない。




「やっぱり仲間が、必要なのかもしれない。」




今候補たちをこの城に招き入れたとしても、私との差はまだまだ大きい。



小町と陛下はこの時、お互いを大切に思い合っているのは間違いないのだから。



私もこの時は、幸せだった。厳しいながらも時折私にだけ見せてくれる陛下のやさしさも笑顔も、大好きだった。



別に愛されていた、というわけじゃない。私と陛下の間にどんな種類の愛情があったのかは分からないけど、少なくともこれからやってくる令嬢たちよりは陛下の近くにいる自覚はあった。




だから少なくとも成人まで私は、陛下の傍から離れないと。




彼女たちの誰かから選ばれないと、意味がないのだからなおさら。

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