第44話

確かにシュガーの父親がビターの執務を手助けしている。彼は真面目で忠義に溢れ、国王といえど媚びへつらったりしない、まさに臣下の鏡のような人。



だからこそ、あの時の私に最も失望し、軽蔑の目を向けていた。




「それが?」


「臣下の娘が国王に嫁ぐと、いらん揉め事が起きかねないだろう?それを恐れた父親が、娘を候補からいち早く除いたのだ。」


「……そう。」



そのせいで、シュガーはビターと結婚することができなくなってしまった。



貴族の娘というのは、大変だなとつくづく思う。




こうやって親の都合で好きな男性に心を吐露することすら許されなくなってしまうのだから。




「ミル。どうにかシュガーの父親、ブレンド・デメリを説得できないかな?」



「それは、我が力を持ってか?」


「……うん。だって今8才の私が、わざわざライバルを増やすような発言をするのも変でしょ?」


「それは、そうだが。」




ブレンド・デメリが決心しさえすれば、シュガーはなんの問題もなく后候補になれるはず。



「この際、他にも2人くらい候補を増やした方がいいかもしれないね。」




后候補は多ければ多いほどいい。そうすれば例えシュガーとビターがうまくいかなかったとしても、他の候補が選ばれるという可能性もあるのだから。

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