第33話

「まぁ、なにも言えないわな。」


「ひゃろ?」




今度は、ものすごく見たことのあるものを食べながら、ミルが私にドヤ顔を向ける。



「なんでカップ麺?」


「お前の前世の世界は最高の逸品が多いよな。我が友人ながらすごい出来映えだと思うよ。」


「……そ。」




ズルズルズルズル、緊張感のない音が聞こえるけど。でもほんと、あの時の私はこんな扱いを受けてもしょうがないほど、しょうもない子供立ったんだと思う。




あの女、シュガー・デメリの登場は、私が13歳、つまり成人した後だ。彼女は、私の先生。物語で言えば主人公を立派な人間に教育し、大成するのを影で見守る人間だ。




優しく、教養に溢れ、美人で厳しい。彼女はそんな、魅力的な人だった。




まるで間抜けな自分では勝てないと、運命がそう言っているような、立派な人物。




思い出しただけで吐き気がするほど、すごい人。




あの頃の私は、自分がただの道化だとも知らず、彼女の整えた舞台の上で笑っていた。




すべての道は彼女に決められ、自分で築いたわけでもないのに、それが自分の道だと信じて疑わなかった。





さぞかし滑稽だっただろう。さぞかし、焼かれる私を見て愉快だっただろう。



ミルも…神も自分勝手で残酷だと思うけれど、あの女には敵わない。



あの女は、絶対に許せない。許せるわけがないんだ。

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