第29話
「なんだ。それなら簡単だ。全知全能の神である我に作られた存在であるお前が信頼していないなど」
「いやいや、全然あるから。今これっぽっちも信用してないし!」
「なに!それはまことか!」
「まことまことー。」
自分を最高の存在だと思ってるから傲慢だけど、性格悪いけど、自分勝手だけど、運命ってやつからこの世界の想像主のくせに私を救おうとしてくれているから。
「信じさせてよ。私がこの世界で、生き残れるって。」
「……小町。」
今度は、うまくいくかもしれない。昔の私みたいに今の私は、世間知らずのお嬢様じゃないから。
前々世のクソみたいな記憶と、前世のクズみたいな記憶。そのどちらもが総合的に見れば不幸だったわけだけど、それなりに経験は積めたと思う。
それに、口調も悪くなったし、なかなか良い性格になったと思う。
それに神であるミルがいればきっと私は、この世界で11年目を生きられると、思うから。
小さく頷けば、ミルが頷き返してくれる。こんなに私をまっすぐ見て、同調してくれるやつなんて、今までいなかった。それだけでも拾いものよね。
「しょうがない。我がなってやろう。お前の言う親友に!」
「いや、奴隷でしょ奴隷。」
「な!神を奴隷とは貴様!」
「あはは!」
少しだけ、信じてみる。人を信じられない私が神なら信じれるかもしれないから。これからやってくる出来事は、神のいたずらなのかもしれない。ならそれを回避するために、張本人を使ってやろうじゃない。
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