第26話

これぞまさに、絶対絶命!



すると、不意にミルが立ち上がる。テトテトと踊るように歩いて行って、ドアノブに手をかけた。



『だめ!だーめ!だめってば!』




口パクで必死で伝えてみるも、ミルにはそれを聞く気はないらしい。ニヤリと口角を上げて、ドアを一気に開いた。



もうだめだ!




間抜けにも、パジャマ姿であぐらをかいたままの私は、すぐに落ちてくる雷から身を守ろうと頭を抱えた。



「あら、ミル様。」



だけど聞こえてきた言葉は予想外のもので。



……ミル、様?




「ミル様がお嬢様のお話相手に?」


「ああ、もう体調が良くなったみたいだからな。これから着替えをするところだった。」


「さようですか。」




顔を上げれば、微笑ましく笑い合う2人が。私、バイセンが笑ったところ始めてみたんですが。




「それでは、お召しかえの準備をしてきます。」


「ああ。」


「失礼いたします。……お嬢様、少々お待ちくださいませ。」


「え、ええ。」





私が呆然としている中、バイセンは部屋を出ていく。なんだ?雷が落ちなかったのだが。私の足を見てやや表情を曇らせたけど、わざわざ指摘するということまではしなかった。



ここは、ただラッキー!と嬉しがるところだろうか?

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