第24話

「自分だけのインベントリを持てるとか?」


「そんな入れ物いらんだろう?従者に持たせよ。我の偉大な力をそんなことのために使うなんてもったいないぞ。」


「スキル習得とか。」


「どこの世界の話だそれは。」


「……。」




とりあえず、前世のスマホゲームの主人公が使えていたような能力を言ってみても、こいつにそれを叶える気はないらしい。



「使えねぇ。」


「ん?今なんと言った?」


「別に。はぁーあ。」





目の前に座るミルを振り払って、近くのソファーに身を投げ出した。寝ながら見つめるそのメイドは床にあぐらをかいて座り、せっかくの可愛い顔を高慢な笑顔で歪めている。




これが、神だというの?ただの役立たずじゃない。



私を不幸にしておきながら、なんでも与えると言っておきながら、結局与えたいものは自分が望むもの。




自分がこうしたら私が喜ぶだろう。そう思ってやっているのかもしれないけれどそこには、私という人間のことなんてこれっぽっちも考えてくれていない。




ただただそこにあるのはこの高慢で最低な神の自己満足だけ。それで私を助ける気でいるのだから笑えるわね。




「なんだ、思い付いたのか?」




どうせ却下するくせに、私の望みを聞こうとしている。それがポーズでないと思っているからまた始末が悪い。

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