第23話

「なんでも言え!」



だけどこの、胸を張ってそう言う神は、私にそんな甘えを許してはくれないらしい。



さっき私は確かに自分の希望を言った。いっそこのまま死んだことにしてほしいと。だけどそれをスルーしたのは、この傲慢な神がどうしても私が、運命に抗い幸福にならなければいけないと思っているからだ。




まるで駒遊びのよう。神の作った世界で、私は唯一思い通りにならない。その駒をどれだけ自分の思い通りにできるか、この神は新たなゲームに夢中になっているらしい。




ーーーふざけんなよ。




「じゃあ、魔法が使えるようになりたい。」


「それは無理だ。」




即答かよ。見つめあった目は当たり前だとばかりにふんぞり返っている。アンタの存在自体が魔法みたいなもんなくせに?



「魔法が使いたければ我がやってやろう。お前はただの人間。魔法に適正もなければ耐えうる力もないからな!」


「じゃあ、神を殺す魔法を自分にかけてよ。」


「よかろう。おおっ!あぶなっ。引っ掛かるところだった!」




……ほんとに、この世界の神がこれって、やっぱりこの世界終わってるんじゃない?




「じゃあ、一歩で10キロくらいぴょーんと歩けちゃうような強靭な体とか。」



「お前、姫なのにそんなムキムキな体がほしいのか?」

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