第22話
この神に想像すらできるはずもない。愛する人たちから裏切られ、呪いの言葉を吐きながらジワジワと体を焼かれていくあの感覚を。
今でも、その時の光景を鮮明に思い出せる。なんの関係もない世界で生まれ変わった前世でさえ、寝るたびに悪夢にうなされた。
「運命なんてクソ食らえだ。私はもう、苦しみたくない!」
「……小町。」
足に力が入らなくなって、その場に崩れ落ちた。駆け寄ったミルの差し出した手を払い除けても、乱れる呼吸はおさまることはない。
前々世の記憶を、体験を鮮明に覚えているせいで私は前世でも苦しめられた。それに追い討ちをかけるようにあの場所でも私は……。
それらの記憶を持ったまま、また前々世の自分からやり直せというの?
こんなの、ミルがただ自分の失態を許せないから自分勝手に私に尻拭いを押し付けているだけじゃない。
「泣くな。なんでも言うことを聞いてやるから。ここではお前を決して不幸にはしない。我はそう決めたのだ!」
見上げれば、真剣な表情でミルが私に頷いた。
それに頷き返す気力は、今の私にはない。もう、解放されたかった。私のすべての出来事を運命で片付けてしまえるのなら、いっそそのまま運命を全うした者として葬られたかったから。
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