第21話
よろよろとベッドの前まで歩いていったミルは、体を投げ出して枕に顔を埋める。
それ、私のベッドなんだけど。
「それがどうした。私が少し退屈凌ぎに運命をねじ曲げてしまったせいで、小町の運命は壊れてしまった。このままじゃ、お前を死なせてやることもできない。私は本来、幸せになるはずの人間を不幸せにしてしまったのだからな。」
ミルに背を向けて、もう一度自分を見た。鏡に写るのは8才の小町。もちろん、中身はそれ以上に生きているせいか、表情に8才の純粋さは皆無。
これって、回りにもそう見えているんだろうか。
「死なせておけばよかったのに。」
「なに?」
低い声を出したミルが起き上がって私を睨み付けているのが鏡越しに見える。
「だってそうでしょ?私の運命をねじ曲げたのがあんただとしても、何度も苦しんで死ぬのは私なの。ねじ曲げたんならねじ曲げたで、そのまま私を殺しておいてほしかったわ。」
「それじゃ」
「その方が!」
「っっ。」
振り替えれば、私が突然大声で遮ったせいかミルは目を見開いて固まっている。ほんと、これが神?だから私の運命を壊すような失態をしてしまうのよ。
「私には、その方がよかったのにっ。」
「……小町。」
すべてを恨んで、そのまま死ねば、私はただ無に返るだけだったはず。
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