第20話

その人たちは始めて、純粋に育ってきた小町に絶望を刻んだ。そして、あんなに無垢で、汚いものを知らなかった彼女に憎悪を抱かせた。




それは確かに、運命とも呼べるのかもしれない。




「なぁ、小町よ。」


「ねぇ、ミル。」


「我が名を呼び捨てとはなんたる!」




肩越しに見れば、ミルが言葉を飲み込んで黙りこんだ。




「ミルが神だとして、私にどんなズルをさせてくれるの?」




そして、驚いたように息を呑む。そして次の瞬間には気まずそうに顔を歪めるの。さっきから時おりそうした表情をするのはなぜかしら?



「……悪いと、思っておるのだ。お前にそんな目をさせるなんて。」


「目?」




聞けば、ミルは鏡を見てみろと言う。失礼な。不細工だとでも言いたいわけ?とりあえずミルに言われるままベッドを降りて、鏡の前に立ってみる。




「……なに?なにか違う?」




鏡に写っているのは自分。純粋無垢な小町じゃなく、すべてを荒んだ目で見ていた前世の小町でもない、今の私。」




背後にいるミルは辛そうに顔を歪めて、これ以上見たくはないとばかりに視線を逸らした。





「この世界に生まれた温度小町は、そんな目をすることがない女だったはずだ。ビターに愛され、国民に愛され、この国で伝説の王妃となるはずだった。」

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