第16話

「我々神は、生まれたその瞬間、世界をひとつ与えられる。」


「うん?」




首を傾げると、メイドは馬鹿にしたように笑う。あらやだ、感じ悪いんですけど。




「世界は無数に存在するのだ。その世界の一つ一つに神がいる。我はこの世界の神、ミル。生まれながらに世界を与えられた神は、人を作り、草木を作り、習慣を生む。」


「つまり、この世界の神はミル。他の世界にも神がいるってこと?」


「うむ。」




転生を2度もした私だ。ミルの話がまったく信じられないというわけじゃない。



だけど私は、転生する時でさえ、神に会ったことがない。だから目の前のメイドが神と言われたって、素直に信じることはできなかった。




「もちろん、世界を作れるということは、運命も作れるということだ。」




ミルが言う。運命とは、私とビター国王のことだと。




「……運命?」


「人の縁を運命で結ぶ。我はそうして人を含め生き物を繁栄させてきた。ただ、それはただ生産的なだけで、生命を震わすほどの刺激はなかった。」




あれ?目の前のメイドって確か、神様だよね?




「だから私は、ビターの運命を2人作ったのだ。そこで蹴落とされた者のことなどを考えずにな。」



神という存在は、試練を与え、人を試す。それを越えられない者のことなんて考えずに。

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