第15話

「それならなぜひれ伏さぬ。」


「は?」




思わず起き上がってメイドを見れば、両腰に手を当てて怒っている様子。



「なんで。」


「なんでって。我はお前を作ったえらーい神ぞ。」


「私を作ったのは両親ですが。」


「そういう下ネタはだな。」


「へー、苦手なんだ。」


「いや、大好物だ。」




一瞬、ものすごい静寂が漂って、私とメイドはひたすらに見つめ合った。



なにこの神、ほんとに神?下ネタ大好物とか言っちゃうのが神?この世界を作った神?





「嘘だろ。そりゃこんなクソな世界なわけだわ。」



「お前、はしたない言葉を使うな!」



ビシリと指差されたとしても、撤回する気はなかった。この世界がクソだっていうのは、本心なんだから当たり前。




この言葉使いは前世で覚えた。この世界には存在しない言葉であり、前々世の私じゃ一生使うことのなかった言葉。




クソまみれの私の人生の中で、唯一自由である証だ。





「うっさいよ神。」


「お前、馴れ馴れしいな。」




ドン引きだぞ。なんて、少しだけ古い言葉を使うあたり、この神も前世の世界での言葉を気に入っているのだと思う。




「それで?神がどうしたの?」


「ん?ああ。」




突然、神妙な顔つきになったメイドが、ベッドの端に腰かける。枕に身を預けた私は、寝転がったまま横を向いて、メイドを見た。

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