第14話

俯いていた視線を上げれば、なぜか目が合った神は表情を険しくさせた。




「お前、いつからそんな目をするようになった?」



「そんなって、どんな?」




誰もが私に言う。そんな奴じゃなかったのに、騙していたのか、と。




前々世でも、前世でも、そして今も。




「理想の私なんて、勝手にあんたたちが作り出した虚像じゃない。」




目の前が揺らめいて、涙が頬を伝っても、壊れてしまった私の心はただ痛むだけ。この痛みから抜け出すことなんてきっと、何回転生を繰り返したとしてもなくなることはない。




記憶が残り続ける限り私は、この痛みを忘れることなんてないのだから。




「それで?あなたが神、っていうのは?」



なにかを考え込んでいたメイド。きちんと相手してやるのも億劫で、ベッドに身を投げ出した。それでも流れ続ける涙は止まってはくれない。




私の意思に反して流れ続けるそれは、またここに生まれてしまったことを体が悲しんでいるのだと思う。





いずれ、焼き払われるこの肢体。少しでも労りたくて、シーツにくるまった。





「そのままの意味だ。私はこの世界の神。ミル。お前を、国王を、草花を作った崇高な存在だ。」


「へー。それで?」


「っっ。それで、とは。驚かないのか?」


「驚いてるわよ。」



だけどこのメイドがこの世界を作った神だとしても、さっきの体召喚風景の衝撃には勝てない。

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