第11話
形作られているそれは、女、の子?
「あらやだナイスボディ。」
「これは我の趣味ぞ。」
胸を張る変態は腰に手を当てて、そのくずれひとつない裸体が服で包まれていくのを待っていた。
フリフリの短いスカート、胸元のがっつり開いたトップス。腰で巻くエプロンは真っ白で、うん。
「メイドかい。」
「ん?なんだ。お前の前いた世界の流行を取り入れたのだが。」
「それ、もう流行ってない。」
「……マジか。」
「マジで。」
完全にメイドとして降臨したそれが、おかしいなとばかりに首を捻る。この人、なんか普通じゃないのは分かるけど、ちょっとだけ、ちょっとだけだけど、アホの香りがする。
「それで、どちら様です?」
「……お前、仮にもここで温度小町をするのなら、昔の自分をきちんと演じなくてはだめではないか。」
「別にいいじゃん。今は誰もいないしってあんたがいるけど。……は?」
なんでこの目の前の美人は私が昔の小町だって知ってるの?
そう思う私の疑問に気づいたのか、メイドは偉そうに口角を上げた。
「すべて見ておるから知っておるのよ。お前の前世も、前々世も、そして今世のこともな。」
「っっ。」
姿のない声、そして目の前で人一人が作られた事実。それを前にすると、このメイドの言っていることももしかして、と思ってしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます