第11話

形作られているそれは、女、の子?




「あらやだナイスボディ。」


「これは我の趣味ぞ。」



胸を張る変態は腰に手を当てて、そのくずれひとつない裸体が服で包まれていくのを待っていた。




フリフリの短いスカート、胸元のがっつり開いたトップス。腰で巻くエプロンは真っ白で、うん。




「メイドかい。」


「ん?なんだ。お前の前いた世界の流行を取り入れたのだが。」


「それ、もう流行ってない。」


「……マジか。」


「マジで。」




完全にメイドとして降臨したそれが、おかしいなとばかりに首を捻る。この人、なんか普通じゃないのは分かるけど、ちょっとだけ、ちょっとだけだけど、アホの香りがする。




「それで、どちら様です?」


「……お前、仮にもここで温度小町をするのなら、昔の自分をきちんと演じなくてはだめではないか。」


「別にいいじゃん。今は誰もいないしってあんたがいるけど。……は?」



なんでこの目の前の美人は私が昔の小町だって知ってるの?



そう思う私の疑問に気づいたのか、メイドは偉そうに口角を上げた。




「すべて見ておるから知っておるのよ。お前の前世も、前々世も、そして今世のこともな。」


「っっ。」




姿のない声、そして目の前で人一人が作られた事実。それを前にすると、このメイドの言っていることももしかして、と思ってしまう。

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