第9話

すべてを捧げた人生が灰になって、ようやく見つけた第二の人生。それもどうやら、なくなってしまったらしい。




「夢だったとかで、実ははじめからなにもなかったのかも。」



そう、すべてが全部夢で、私はまだ8才の小町にすぎない、なんて。



「そんなわけねっつの。」



そう考えてみたとしてもこれには無理がある話。温度小町にはあり得ない話し方。この世界で生きている中で決して触れることのない知識が自分の頭の中にあるのに気づいている。




「はぁ、どうしよ。」




そして、これから純真無垢な温度小町の人生に何が訪れるのかも、私はすべて、分かっていた。




何度ため息を吐いても、何度手を見ても、私は8才の温度小町で。



ベッドを降りて鏡で見たものも幼い少女だった。




これから自分になにが起こるのか、そして、何をされたのか、私はすべて″知っている″。そう自覚した途端、自分のものではない涙がこぼれた。



ああ、穢れを知らない温度小町の体が泣いている。これから訪れる裏切りや挫折を見せつけられて。




可哀想な子。ただ純粋にビターを愛していただけなのに。



聖女のように優しい彼女は結局、その純粋さ故に無惨にも、火に焼かれて死んだ。



「……ん?」



でも、待てよ?

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