第8話
昔……。といっても今8才なんだから去年の出来事だけど。
この王宮内で不幸が続けて起こった。
ある姫は病死。ある姫は精神を病んでしまい、家に戻った。そしてある姫は散歩中に事故死。候補として入宮していた姫たちは次々と不幸に見舞われ、私だけが無事だった。
それを疑うべきだったのかもしれない。というより。
「怪しいよね、そりゃ。」
「どうされました?お嬢様。」
「ううん。別に。ちょっと気分が悪いから出ていってくれるかしら?」
「……かしこまりました。」
ビター様が出ていって、侍女の1人だけが残っていた室内。思わず気が緩んでしまっていた。危ない危ない。
「ふー。だる。」
侍女の出ていった静かな室内に響き渡る言葉はきっと、この世界では聞きなれない言葉。いや、そんな言葉すら存在しないのかもしれない。
「なんで、戻っちゃったかな。」
天井に向けた自分の小さな手を見て、うんざりする。このままじゃ私はまた、この綺麗な手を燃やすことになる。
しかも、″戻った″のは8才。
「詰んだ。」
文字通りそれは、詰みフラグそのもの。
「はー。最悪。」
寝返りを打って窓を見ても、望んだ景色はもうない。汚い都会の空。だけどネオンのお陰で夜景は綺麗で。
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