第57話
それは、私への罰なのかもしれない。
だって私はきっと、火炉が他の人間を食べることを許せない。火炉が飢えていると分かっていても、自分以外を食べるなんてと、傲慢にもそう思うんだ。
「はぁ。」
「きついのか。」
眉間に皺を寄せる火炉が私の頬を撫でる。冷たい手。気持ちがいい。
「……少し。」
「そうか。」
熱のせいか、火炉に甘えてしまう。だけどそれを鬱陶しそうにすることもなく、火炉は私の頭を撫でてくれる。
こういう時、抱きしめたりされないのは正直助かっていた。体調が悪い時、安心はするけれどやっぱり人に抱きしめられるのは体に負担がかかる。
そういうの、火炉は気づいている?
「ちょうどいい。俺も寝よう。」
「……ん。」
もう、どっちでもいいか。火炉に頭を撫でてもらって、少しだけ体調がよくなっているのに変わりはないのだから。ただ眠りに誘われるまま意識を手放した。
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「……えれ。」
「ひ…なぁ、そん…こと言う、んて。」
「体調が悪いんだ。」
「だから来たんでしょうよ。」
目を覚ませば、火炉が誰かと言い争っている。
「か、ろ?」
「あ、起きた?」
私の声に反応したのは火炉じゃなくて。
「らい、ち?」
「やっほー。」
久しぶりに見る、雷知だった。
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