第45話
side 和子
「チッ。」
火炉の機嫌は、すこぶる悪かった。十中八九周防のせいなのが分かる。
「火炉。」
「ん?」
だからといって、部屋を燃やすのは、やめてほしい。
あ、お気に入りの置物が燃えている。火炉と帝都で散策した時に買った物なのに。するとすぐさま、火炉が私の匂いに気付く。
「どうした和子、悲しいのか?」
「誰のせいですか。」
「ん?」
不思議そうに首を傾げている火炉。この鬼は自然とそうであったように火を操る。今もほら、私のお気に入りの置物が燃えているのに気づいて消化して気まずそうにしているし。
消したりつけたり。酷い時には人でも鬼でも燃やせるほどの業火。火炉をはそれをあっさりと生み出せる。
他の鬼はどうなんだろう?
私が知っている能力といえば、雷知の癒しの力、そして月夜が獣のように牙を奮えるということだけ。
桜土や羽水、他の鬼には、それぞれ特製があるのかな?
「和子、わざとじゃないんだぞ。」
「知っています、けど、気を付けてくださいね?」
「……ああ。」
肩を落とす火炉。なんだか少し、昔より子供っぽくなったような気がする。
こうして精神的にイライラすると周りを燃やしてしまうことが多くなったし、考えていることを全面的に表情や行動に出すことが多くなった。
でもそれが嫌なわけじゃない。むしろ嬉しいの。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます