第28話
「他は、どうした?」
素直じゃない火炉は、自分の仲間の所在を少しずつ尋ねる。不思議なものね、火炉ほどの人がみんなが何しているか分からないなんて。
鬼には、神通力のようなものが備わっている。別の場所にいながらにして、ある程度のことは分かるみたい。
だけど、格式の高い鬼同士だとそれは鈍るらしく、雷知や地影、桜土や羽水だと、火炉といえども、その精度は鈍ってしまうらしい。
だけど、彼らには会いに行けばいい。何をしているかは分からないにしても、居場所はある程度分かるのだから。
それをしないのは、火炉が素直じゃないから。
「ふふ。」
「何が可笑しい?」
「いえ、別に。」
「ふん。」
会いたい、その一言を私には言えるくせに、友人には言えないなんて。
ひねくれて、可愛くて、意地らしい人だ。
「それで?」
でも結局、早く知りたいと火炉の目が語っている。それを受け止めた桜土は、火炉の感情に気付いているからか苦笑いを零した。
「雷知は、王になりたいと言い出しまして。」
「なったのか?」
「いくつか国を支配し、東で立ったと風の便りで聞きました。」
「ふ、宣言通り王になったのか。」
「まぁ、そのようですね。」
桜土が吐き捨てる。雷知のことなんてどうでもいいとでも言いたげ。
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