第27話
そして、こんな時は必ず。
『それは人間で言う、喧嘩するほど仲が良いとかそういうことだろう?』
地影が人間を分かった気で言って……。
『そうじゃないって火炉は絶対本気で言ってるって。』
雷知が、反論する。
『和子様、これは本当はどういう意味なのですか?』
そして、羽水が私にこう質問するの。
それなのに、今は。
「王よ、ところでここでなにをしているんですか。」
「和子と日向ぼっこをしている。」
「はぁ、さようですか。」
火炉と桜土、そして私だけ。
みんなはいったい、どうしたんだろう?93年の間に、彼らになにか起きているかもしれない。そう思うと、気軽に聞くことなんてできない。
「羽水。」
「は。」
ためらう私をよそに、火炉があっさりと羽水を呼び出した。暗闇から現れた羽水は私を見るとなぜか顔を赤くする。
「殺されたいのか?」
「え、いやっ、久しぶりの、和子様が、なんと、言いますか、あの。」
俯いた羽水の頬に血が流れる。私を思って、涙するなんて、相変わらず、変わった鬼。
「ほう、見ない内こやつは人間に近づいたようだな。」
「そのようですね。」
火炉と桜土の無機質な視線を受け止めて、血の涙を拭う羽水は恥ずかしそうにはにかんだ。
惜しい。ここで恥ずかしがるのは、ちょっと間違い、かな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます