第51話

私と同じくらいの身長だけど、体重は半分くらいなんじゃない?ってくらい細い翼は、年齢相応に見られないほど童顔なことが悩みだ。だけど、その童顔は良い意味、というか。




「聞いて欲しいことって?」


「ん?んふふー。」




したり顔で微笑む翼。そのいたずらっ子のような笑みは思わず相手をドキリとさせる。昔はこんなに可愛く笑えない、なんてまっすぐに見ることすらできなかった。




自分に自信がなかった私は、正反対で輝いている翼が眩しくて仕方がなかったんだ。




「華が来ましたよー!」



「おお、来たか。」



「ごめんねぇ、華。」




でもなんでだろ、昔ほどじゃないのは。




「サプライズもいいけど、ほどほどにしてね。」


「えー、それじゃ脅かす意味ないでしょ?」




無邪気に頬杖をつく翼を、まっすぐに見つめることができている。それに、なんだか私、普通に話せているな。




「サプライズは喜ばれないと意味ないんだから。これはサプライズじゃなくて脅かしただけ。」



「うーん。それはごめん。」



「ううん。分かってくれればいいよ。それに、来てくれたのは嬉しいから。」



「ふーん。」





机に寝転ぶようにして私を見た翼は、口を尖らせて私を見る。




「なんか華、生意気になってない?」



「大人になったと言ってくれたまえ。」




生意気というより、注意すべきところで注意できる大人になっただけだと思うんだよね。

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