第43話
そんな私のためにか、ある日突然姿を現したこのゴルフカート。
私仕様にしてあるらしく、大好きな水色に染色されている。
ウイイイン、なんてカートらしい音を出しながら発車。贅沢はあまり好きじゃないけど、このカートは本当に助かる。
カートを走らせること5分。そこまでの距離じゃないと思うかもしれないけど毎日これを歩くとなると体重が15キロくらいになりそうだ。
家に着くといつもの駐車場所にカートを停めて、その隣のスペースに目をやる。春さんはまだ帰ってないらしい。帰って来る前でよかったよほんと。
両親はまだしも、あんまり翼に会わせたくはない。
「っっ。」
嫌な思い出が頭をよぎって、それを打ち消すように勢いよく立ち上がった。
「イタッ!」
そのせいで、カートの天井に頭を打ち付けちゃったわけだけど。馬鹿なのかな?私。
「はぁ。」
翼がいるというだけでこのため息の量。フランスに永住するって聞いて申し訳ないけど安心していたのに。
彼女はまだまだ、私を"利用"するつもりらしい。
翼は可愛い。少し幼い感じの可愛い系って感じ。私と背が同じくらいで、小さいのが悩み、なんてよく言っていたのを思い出す。
私たちは系統が似ているらしく、男性たちによく比べられていた。
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