第41話

それに、翼がいるということは、絶対に良いことにはならないし。本当に帰ってほしい。



『今華の家の前。中で待ってるから入り方教えてよ。』



「……。」




だけどそれは敵わないらしい。それに、久しぶりといってももう7・8年会っていない幼馴染の家に突然訪ねてきて、家主が帰る前に家に入ろうとしてるなんて。



驚きを通り越して呆れてしまう。ていうか、入り方って。その辺に合鍵忍ばせてるとでも思ってるのかな?



『翼ちゃん、ちょっとごめんねぇ。あ、華?』


「ん?」


『悪かったね。今の時間くらいに帰ってくると思って、合わせて来たんやけど、早く来すぎてね。泊まるホテルはもうチェックインしとるから、お土産だけ渡そうと思ったんよ。』



「そっか。ごめんね、もう少しで帰るから。」



『ならその辺の喫茶店にでも入っとくから。』



「うん。」




すぐに切られた電話。門の前では、翼がお父さんたちにいやいや引っ張られているのが見える。



昔から、無神経を通り越したような子だった。気遣いとか、人の気持ちとか、まったく考えない子で、きっとお父さんたちにも無理矢理ついてきたんだろう。




うちの両親はなんだかんだ人が良くて、友達に疎まれて独りぼっちになっていた翼を家族旅行に連れて行ったりしていた。



私も、結局は姉妹ができたみたいで嬉しかったのを覚えてる。

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