第39話

そうこうしている内に、この角を曲がったら家の門、という所まで来た。



もう少しーっなんて呟きながら角を曲がると。




「は?」




門の前に、影が3つ。思わずとっさに隠れてしまったけど、いまだに目に残る3人の顔が信じられない。



道の角から、そっと覗いてみる。



うん、いる。いるよ。いるいるいるいるおる。




「なんで。」




スマホを取り出して、その人物の名前を検索する。見つけてタップすれば、その番号が点滅しだした。




『はーい。』



すぐに出たその人は。



「お母さん、今なにしてる?」



私の母です。



『今?びっくりするよ多分。』



「え、なんで?私びっくりすること嫌いって知ってるよね?心臓止まるからダメってドクターストップされてるじゃん。」



『アハハ!華ってば面白いこと言うんやから!』




お母さん!ウケてる場合じゃありません!



『おい、華がおるとか?』



『そうなんですよ。今電話してきて。虫の知らせとかかねぇ?』




背後から、のんきなお父さんの声。相変わらずの家族の雰囲気に、なごんでいる場合じゃない。




『華ー!お父さんだぞ!』


「だぞ!」


『そんな大声でなくても聞こえとるよもう。』




電話の声と、道の角のその向こうから聞こえてくる声がリンクする。



あー、いるわこれは。家の前にお父さんたちが。

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