第37話

そんな私が足を棒にして探し当てたのが、この、スーパー【わっしょい】。一度春さんを連れて来たら、店の名前がツボって笑い転げて恥ずかしかった。




だけどここは、ほんとに安い。駅の南口、家がある方とは真逆に出なくちゃいけないし、しかも20分くらい歩くけど、とにかく、安い。



トマト缶なんて68円だよ。どうだ。コーンスープの素は粉末しか売ってないけど、それでも十分美味しいもんね。




お肉は、国産もあるし外国産もある。外国産でもものを選べば十分美味しいもん。



春さんは、すごい家で育ってきた割には雑食というか。私の特売品溢れる料理を前にしてもいつも嬉しそうに食べてくれる。



……無理してるだけかもしれないけど。




だけど、満足そうにご馳走様って言うんだ。



あの時の笑顔は、嘘はついてないって、思う。





わっしょいである程度買い物を済ませて、また駅に戻る。




北口に行くには長い地下道を歩かなくちゃいけないけど、地上を歩くよりはマシ。



地上の道は線路のせいかぐるーんと遠回り。それを歩くくらいなら私は地下道を歩く。体力的に、歩ける距離は決まっているからだ。




北口に出ると、ここからまた、遠い。荷物もあるし、バスにでも乗りたいところだけど、春さんの家の最寄りバス停はちょっとだけ家を通り過ぎてしまう。

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