第27話

「いや、本当だって華。父さんはあの通り、良い意味で俺たちに興味がないわけ。」



「それ、全然良い意味に聞こえないんですが。」




首を傾げる春さん。子供に父親が興味ないって、全然良い意味とは思えないのは私だけだろうか?



でも、だからといって新城奏さんが春さんたちを父親として愛していないとは思えないから不思議なんだよね。




「父さんってさ、基本怒らないんだ。」



「うっそ。あ。」



「ククッ。」




思わず漏れ出た言葉。あの新城奏さんが?と思ってしまうのは私だけ?



「うーん、怒る、とかじゃなく、ですね、うん。」



「分かる分かる。怖いからねー。」



「そこ、さらっと言うとこじゃないです。」




近くにあった椅子に座って、鉄さんに貰ったケーキの箱を何気なく開けた。



「わぁ。」




これ、新城組の近くの駅前で有名な奴だ。新城秋さん夫婦行きつけで有名なところ。弓さんにもよくごちそうになるけど、私はここのケーキが二番目に好き。




さくさんのとこのケーキじゃないんだ。気が利かないなぁ。」



「む、そういうことは言いません!」



「はーい。」




方を肩をすくめた春さんは、ベッドヘッドに寄り掛かって小さくため息を吐く。



疲れてるんだな。いつもの感じで話してるから気付かなかった。よく見れば顔色も悪い。

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