第25話
「ごめんなさい。私が、ちゃんと見てなかったから。」
気付いた時には、ゆいかさんに向かって頭を下げていた。同時に込み上げてくるのは涙。
情けない。私は春さんの彼女のはずなのに、体調の悪さに倒れるまで気付けなかった。
しかも私たちは一緒に住んでいるのに。してもらうことが当たり前すぎて、私は大切なことに気付けなかった。
こんなんじゃ私、彼女失格だ。
「春?」
「……ごめん。」
「え?」
ゆいかさんの低い声になぜか謝った春さん。びっくりして顔を上げたら、こぼれた涙が頬にかかった。
呆然とする私を他所に、ゆいかさんにはっきりと睨まれている春さんは苦笑いで私を見ていて。
頭の中を埋め尽くすくらいのはてなマークが浮かぶ。
「はぁ、まったく。私は帰るわね。」
「え、もうですか?」
立ち上がったゆいかさんは、私に微笑みかけたあと。
「いて!」
ものすごい勢いで、春さんの頭を叩いた。
「え、え?」
混乱する私を置いてけぼりにして、再び黒オーラを纏ったゆいかさんは、ゆっくりと春さんを振り返る。
「わ、悪かったって。」
なんだろう?私には見えないけどなんだか、春さんがものすごく怯えているような?
だけど、それも一瞬。また振り返ったゆいかさんは、いつもの妖艶な笑顔で私を誘惑する。
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