第21話

正直ホッとした。あの人は春さんの親友だけど、ちょっと怖いから。




でも、優しい人なんだと思う。こうして私に助言をしてくれるのだから。




「甘える、か。」




春さんに甘えるって、どうやればいいんだろう?



ご飯を作ってくれて、マッサージも、送り迎えもしてくれる。家ではいつも私を甘やかしっぱなしのこの人に、甘える?




今のままでも十分だと思っているのだけど、三井さんが言うにはそれじゃ足りないらしい。




「うーん。」



「ふふっ、華ー。」




寝言でさえ私でいっぱいのこの人に甘えることができれば、こうして倒れたりさせないのかな?



三井さん、親切なのは嬉しいですけど、難問です。




「うーん。」



頭を抱えてみても、全然分からない。そもそも甘えるって、なんだっけ?




「華、なにしてるの?」


「うん?」




頭を撫でられて顔を上げてみると、驚いたような表情の春さんが。



「なんで俺。え?」



どうやら、自分が病室にいることに気が付いたようで。




そんな時、病室のドアがノックされた。返事をするとドアがゆっくりと開いてそこには…。





「あら、起きたのね。」


「ゆ、いかさん。」




真っ黒なワンピースを着たゆいかさんが、後ろに鉄さんを従えて立っていた。



なんだろう、相変わらず怖いのか神々しいのか、分からない。

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