第20話
きつい言い方。それは私のダメな部分をブスリと突き刺した。確かに。私は春さんの恋人なのに、こうなるまで放っておいた。
ちゃんと支えられる恋人なら、春さんはこんなにならなかったのに。
三井さんはそれを指摘しただけ。そのせいで傷つくのは間違っている。
「そうですねぇ、試しに、グダグダに甘えてみてはどうでしょう?」
「え?」
どうして?これ以上甘えるなんてできるはずないのに。それなのに三井さんは、呆れたように私を見て笑う。
む、なんか、すごく、馬鹿にされているような。
「あなたが甘えないから、こいつは完璧でいなければならないんですよ。」
その言葉を聞いて、三井さんと見つめ合うと、私の鈍い頭でも少しずつ分かるような気がしてきた。
春さんに視線を移すと、相変わらずの綺麗な顔が眠っている。顔色は悪い。でも。
「華、パンケーキ食べる?」
「ふふっ。」
寝言でまで春さんは、私を甘やかしているらしい。
「言っておきますが。」
三井さんの声は、そんなに大きくはないけれど。
「これと付き合うなら、普通は捨ててしまいなさい。」
その声はまるで耳元で聞こえたかのように、何度も私の耳の奥で響き渡る。
後ろでドアの音が聞こえて、三井さんが部屋を出て行ったのだと教えてくれる。
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