第17話

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「華ー、おかえりー。」


「……。」




やっぱり、と言おうか。従業員出入り口から出ると、春さんがいた。


愛車の前、スーツ姿で手を振るさまは相変わらずかっこいいけど、この時間にいること自体、違和感しかない。




付き合いたての頃よりも頻度が増している。最近じゃ毎日のことだ。



それに、言ってもないのにだから余計に怖い。私のシフトは手帳の中にあるし、基本スマホで確認するから、春さんが知りようがないはず。



スマホや手帳を見るような人じゃないからなおさら。



だけど、私のシフトなんて上に確認すればバレバレだろう。よく室長をはじめ従業員のみんなを買収してる春さんからすればお手の物なのかもしれない。



その辺はもう麻痺しているのか、室長の裏切りを知っても今更驚いたりはしない私。



だからといって、春さん側のスケジュールが、私の仕事に合わせるなんて不可能なことを分かっているから、この時間に春さんがいることに、恐怖すら感じてしまうんだ。





「なんで、いるんですか?」



「え?」




今までは、嬉しいとだけ思うようにしていた。春さんがわざわざ、私のために迎えに来てくれているのだと思うと、嬉しくて。




だけどそれも、連日続けば見ないようにしていた疑問しか湧かない。

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