華の怒り

第14話

side 華





「うーん。」



「どうしたの海野。うんうんうなって。」





職場の休憩室。生クリームアンパンを頬張る桐子さんを見ていると、自分の悩みがどうでもいいものな気がしてきた。




「最近、春さんが完璧なんです。」



「自慢か。」



そう、なりますよね。思わず苦笑い。



「いや、なんか、なにとは言えないんですけど。」




具体的にどうとか言えないんだけど、うん、春さんが最近、完璧なんです。




「……完璧、過ぎる気がするんですよね。」



「はぁ?」




朝は私より早く起きて朝ごはんを用意してくれている。




「この愛彼弁当食べながら贅沢な。」



「そう、ですよね。」



「そうよー。私なんてクリームあんぱんだし!美味しいけどね。」



「桐子さんは逆にちょっとした方がいいです。」



「言うねえ、海野。」



「……すいません。」





今私が食べているお弁当も、春さんが作ったもの。しかも夜ごはんや朝ごはんを詰めた手軽なものとかじゃなく、私の好物ばかりを詰めたバランスのいいお手製お弁当。




それも、私のものだけ。会食とか外出が多い春さんがお弁当を食べるのは難しい。そんな彼に私のものを作らせるのはほんとに忍びない。




だけど、春さんに目をウルウルさせて「作らせてよ。」なんて頼まれたら、それを無碍にもできないわけで。

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