第12話
だめだ。顔を振って正気を取り戻そうとしても、襲ってくるのは黒い感情。
父さんや、兄貴、そして母さんにも当たり前にあるその感情は、新城家の人間ならばそれが良さであるとさえ言われる。
だけどそれは、相手が普通でない時だけに当てはまること。
華は、普通の女だ。
普通の家庭で過ごし、普通の人生を送ってきた。
夢もあり、人の汚い感情になんてほぼ触れることはないだろう。
そんな彼女を俺が"普通"に愛するのは、彼女を追い詰めてしまう行為に他ならない。
両親が、兄貴が、そして妹が、弟が心の中に持つ愛という感情。それは周りを傷つけ、壊しつくしたとしても、その意志を貫く。
しかし、華が相手なら、俺の中にあるこの愛は、ただの毒にしかならない。
俺たち新城の人間の愛は、誰よりも重く、どす黒く、真っ白だ。
それはただ、口だけで紡ぐ感情とは違い、行動も伴うもの。
もし、母さんが職場でいじめを受けていれば?
父さんならば相手を殺してしまうだろう。兄さんも、俺も、夏流でさえ、そして、冬夜も、その相手を許しはしない。
俺たちが当たり前に取る行動を、華は理解できるか?
それは、無理な話だ。
鑑を使って、俺がこんなことをしていると華が知れば?もちろん、心優しい華は、良い思いはしないだろう。
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