第10話
そんな俺の人生を賭けた観察対象が華だ。
理由?それは色々あるよ。面白いし、可愛いし、好きだし、最高だし、可愛いし、可愛いし。
ぷにぷにの顔が綻べば食べたくなるし、いや、食べるんだけどさ。そのほっぺが嬉しそうに歪めば抱きしめたくなる。
「さりげなくその子、クビにしてくれる?」
「かしこまりました。」
だから許せないんだよね。あんなに可愛い俺のかわいこちゃんの笑顔を曇らせる輩が。
そんな奴ら、消えてしまえばいい。いや、死んでしまっても誰も困らないんだと思う。
あっさりと承諾して、鑑は礼をして部屋を出て行く。鑑にとっては、グランホテルのフロント係をクビにすることより、俺の怒りから逃げる方が重要なことなんだろう。
そりゃ、怒ってるけどさ。俺の秘書のくせに、雇い主から逃げる部下って、酷くない?
「はぁ。」
机の上の冷えきってしまったホットコーヒーを口に含めば、苦みの増したそれが口内に広がる。
それがなんだか、自分を責めているようで。思わず苦笑いを零した。
数日後、いや、明日になればすぐかもしれない。あのフロントの女が辞めたと知った時華は、俺の存在に気付くかな?
いや、そんな気付かせるようなヘマは、鑑はしないだろう。
だけど華は賢いからな。俺の仕業だと気付くかもしれない。
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