第7話
それにしても、なにをそんなにびっくりしてるんだろ?私は普通に質問に答えただけなのに。
そう。春さんのことを考えててよだれをたらしてたって、正直、に?
「別にっ、春さんが食べ物とかそういうことは思ってませんから!」
ジッと見つめるその漆黒の目に慌てて弁明するも後の祭り。春さんのことを考えててよだれなんて私、変態か。
「ふふ、分かったよ。」
「ううう。」
それなのに春さんは、爽やかな笑顔ですべてを悟ったようにそう言う。
その天使のような笑顔は語っていた。
『俺を食べたいとかそういうことだろ?華のエッチ。』と。
「あ、う。」
もはや何も言葉が出てこない私の頭を、春さんは嬉しそうに撫で続ける。しょうのない子ブタだなまったく、とばかりに。
もはやこれは、恋人に対するそれじゃないんだろうな。言うなればペットの豚に対する自愛の心とでも言おうか。
私って、なんでいつもこうなんだろう。私がもし、さっきのお客様みたいな人に馬鹿にされないような人間なら、こんなしょうもないことを春さんに思わせることもないのに。
私がもし、春さんの隣に堂々と立てる容姿をしていたら、なんて。
気にしないようにと思っているのに、ふとした瞬間、それは襲ってくる。
自分に自信がないって、最悪な気分だ。
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