第10話 マジックバッグ
次の日も下で待ち合わせをして、買い物に出かける。
ショッピングモールの家具屋に来ている。
「うーん。どっちが良いと思う?」
「俺だったらソファーセットだな!」
「えー、シングルでいいでしょ?」
と悩んでいるヤス。
アキはサッサとデスクと椅子を選んでいたし、アカネは色でソファーを選んでた。
ヒカルはコタツに座椅子らしい。
絶対寝るやつな!
「よし!ソファーセットで!」
「毎度あり!全部?」
「俺が運びます」
「…うちで働かない?」
「いやいや、新入生ですって」
「ハハハッ…」
売り場の人には悪いけど節約出来るしな!
全て『収集』で運ぶので手ぶらになった。
「みんなって武器とかはどうしたの?」
「一応持って来てるよ?だからアキと来たしね」
あぁ、だからマジックバッグの容量が少なかったのか。
「書いてあったもんね。武器がある人は持参せよ。って」
「戦うのか?」
「てか、あれ武器屋じゃない?」
アカネが指差す方向に確かに武器屋があった。
中に入って見てみると、剣に刀、槍や弓に薙刀まで置いてある。
モーニングスターなんて誰が使うんだ?
「おう!新入生か?」
「はい、ここ武器屋なんですね」
「見ての通りだ!あぁ、まだ授業は始まってないか!」
「そうですけど、もしかして戦うんですか?」
「んー、まだ言っちゃいけない決まりなんだよな。だが、ここを見つけたらそう言うことだろうな!」
暗に戦うっていってるよな。
「素材って売ってますか?」
「ん?いや、欲しいくらいだよ!」
「足りてないとか?」
「まぁな、質のいいものはあまりないなぁ」
そうか、足りないならしょうがないな。
武器屋を出ると、今度は魔道具屋を発見した。両方ともこじんまりとした印象の店舗だな。
中に入ると、
「うおぉぉ!マジックバッグだ!」
「欲しいぃー!!」
「いや、買えないでしょ?」
桁が違うし。
「あらお客さん?」
「「「「「こんにちわ」」」」」
「はいこんにちは!」
「マジックバッグなんて売ってるんですね!」
「そうね、あれは昔作れる子がいて作ってもらったのよ」
マジックバッグが作れるのか?
「どうやって作ってたんですか?」
「うーん、企業秘密らしくて」
「そうですか」
「もしかして生産系のスキル?」
「んー、まぁ、そうですかね?」
綺麗な茶髪のお姉さんだが、少し悩むと、
「小銭入れならあるわよ?」
「へぇ!いくらですか?」
「30万ね」
「「「「高っ!?」」」」
「あ、買います」
「「「「えぇーー!?」」」」
『分別』して原理がわかれば作れるかもしれないからな!
「ふぅん、自信があるのね?じゃあ、はいこれ」
「はい」
「…確かに30万ね」
俺は『収集』して『分別』すると、中と外で別々の革を使って作られている。
内側はワームの革で外側は普通のバイソンの革か。
「素材はあったので作ってみます」
「ねぇ、じゃあ、これ作れる?」
アカネが画像を見せてくるのでそれを『リサイクル』で創る。
取り出してみるとアカネが奪った。
「どれどれ?」
「あ!腕がすっぽり入った!ってことは?」
「作れたな?」
「すげぇ!!」
「へぇ、びっくりだねぇ」
とお姉さんもビックリしている。
「ねぇ!スズ?これって」
「いいよ、あげるから」
「や、やったぁ!!」
「試しに作っただけだしね」
いや、マジで作れるとはな。
「俺にも!」
「んー、材料が揃わないと無理かな」
さすがに全員分を作ると貴重な素材が減るしな。
「マジかぁ、アカネの悪知恵が働いたな!」
「えへへ!よし!これで私もマジックバッグ持ち!しかもこんなに可愛いの!」
「なぁ、こう言う財布作れる?」
アキが見せてくる財布はまぁ、普通の財布だな。まぁ、革も余ってるしいいか。
「ん?あぁ。…これでいいか?」
と渡すとヤスが、
「凄いな…」
感動しているようだが、
「もらっても?」
とアキが言うので、
「どうぞ」
「よし!やったね!」
アキも財布をゲットして嬉しそうだが、みんな画像を探すのはやめようか?あれ?お姉さんまで探してないか?
「素材持って来たらつくるからな?」
「あー。なら今度は革を探さないとな」
「革屋なら隣にあるわよ?」
革屋まであるのか、なんなんだここ。
外に出て隣を見ると広い店舗に『leather dresser』と書いてある。
中に入って行くとお姉さんもついて来る。
「お姉さんも?」
「ちょっとね、あ、『closed』にしてこなきゃ!」
と戻って行く。
「革ってピンキリだな!!」
独特の匂いがする。
革がそのまま飾ってあったり、革製品が置いてある。なんかカッコいい店だな。
「おっ!この財布カッコいいな!」
とヤスとヒカルが喋っていると、お姉さんは戻って来た。
「ちょっとハゲ!!出て来なさい!」
「あ?なんだ?
カウンターの奥からスキンヘッドのサングラスをかけたお兄さんが出てくる。
「何ですって?この店潰すわよ?」
「…悪かった、で?何の用だ?『ガキンチョ』ども」
口悪いなぁ。
「ちょっとそこのお嬢ちゃん、そのバッグ見せてやって」
「ん?はい!」
ハゲ店員に渡すと、
「…ちょっと待った…これは誰が?」
「そのあんたが『ガキンチョ』とか言った中の1人よ?」
「そうか!おい!誰だ!これ作ったの!」
「…俺ですけど」
「よし!ウチで採用してやる!」
「いやいや、俺は新入生だし」
「…お前いい腕してるな!俺はヒロだ!ヒロさんと呼べ!」
ヒロさんは俺の腕を掴んで離さない。
「この革ちょうだい!で、これを作って?」
と緑の革を指差し、スマホの画面を見せながら紅羽さんが言う。
「えー、まぁ、いいですけど」
「紅羽?お前これいくらすると思ってんだ?」
「ん?安くしなさいよね?」
「グリーンドラゴンの革だぞ!」
あ、それなら持ってるな。
さっさと作って、
「はい、どうぞ」
「なっ!お前持ってたのか?」
「はい、在庫あったから」
「きゃー!嬉しい!ありがとう!これお代ね!」
札束を渡して来た。40万くらいかな?
グリーンドラゴンの革なんて腐るほどあるが。
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