第2話
ダンジョンに入るようになって2週間経った、僕もレベルが上がる。
今はレベル10でようやく『分別』と言うスキルが手に入り、収集した物を分別して出せる様になった。
「おい!ゴミ!さっさと拾って来い!行くぞ!」
「はい!」
扱いは相変わらずだけど、でもついて行くしか方法は無いから仕方ない。
「おい!先に行くぞ」
「あ、待ってください!今行きます」
「たくっ!さっさとしろ!」
「『収集』」
僕はこの『収集』でダンジョンドロップを収集して『分別』する。
だが、魔石だけだと魔石にしかならなくて、ただの荷物持ちになる。
でも、何とか他の素材が落ちれば少しは素材が貯まってくるので、それが僕の財産になる。
そしてダンジョンから冒険者ギルドに戻ると、
「ほら出せよ!」
「はい」
取った魔石は全て渡してお金に換える。
「ほら、お前の分だ」
と、床にばら撒かれる銅貨。
「あははは、そりゃ子供の駄賃より少なくね?」
「いいんだよ!おまえは文句言わねーよな?」
「はい」
銅貨3枚。それが僕の取り分だ。
「固パンしか買えねーじゃん」
「あるだけマシだろ?」
「はい」
これでやっと解放される。
王城に戻った僕は食堂でご飯を食べる。
「
「…はい、大丈夫なので僕に話しかけないでください」
「わ、分かった」
北王子君には悪いけど喋ってるのを見られたら、またあたりがキツくなるのだ。
僕は食事がもらえるだけいい。
何とか明日もついていかないといけないのだから。
薄味のご飯しか出て来ない食堂で、ご飯を食べてるのは勇者組と僕くらいだ。
他の人はダンジョンで稼いで外に出掛けているのだろう。
勇者組はこれから外に出る為に節約しているんだろうな。
それから二週間後、いつもの様に中村君達とダンジョンを進む。僕でもゴブリンは倒せる様になった。
でもそうすると今度はもっと強い魔物の相手をさせられて、笑いものにされる。
「ウァッ!グフッ!」
「あはは!お前まだデッドウルフだぞ?」
「言うなよ、あいつは必死なんだから」
「ゴミなんだからあんまりいじめるなって」
と笑われるが、僕が何とか血だらけになりながら倒すと舌打ちをされる。
いったい僕が何をしたって言うんだ?
そこから半年、まだ成長期らしく背が伸びた僕はデッドウルフなんかには負けない様になってくる。
「おい!木偶の坊!あれ倒せ!」
「はい…」
倒せる様になると顎で使われるが、僕にはレベル上げのチャンスだから頑張るしか無い。
レベルは39に上がっているがいまだにスキルは変わっていない。
「先に進むぞ!」
今日はまだ先に進む様だ。
いつもと違う魔物が出てくる。
中村君達も必死で戦うが、まだ早かったんじゃ無いだろうか?
「おい!中村ヤバいって!」
「ゴミ!こっち来い!」
「はい!」
苦戦する中村君達に呼ばれて行く。
「おら!こいつの相手をしろ!」
蹴られて前に出るが相手はオーガだ、中村君が苦戦するのに僕には勝てるはずが無い。
「うあっ!グフッ!」
オーガに殴られる。
「しっかり殺しとけよ!」
どっちに言ってるのか分からない。
「グッ、え!僕には!ガハッ!ま、まだ早いですよ!?」
オーガは僕で遊んでる様だった。
「うっせぇ!今まで面倒見て来たんだ!俺らが逃げる時間稼ぎくらいしろ!」
「ガッ!ガフッ!!」
やっぱりこうなると思ってたんだ。
いつかは魔物の前で置いていかれるかもって…もう3人ともいなくなってしまった。
僕1人だけオーガに殴られている。
「でも!僕は!」
オーガに身体を掴まれると頭から喰われそうになるが、
「僕は死なない!!」
左手を口の中に突っ込むと勢いよく噛まれる。
「グァァアァア!!し、『焼却』」
『グオオォォォ…』
さっきレベル40で覚えた『焼却』がオーガの頭を燃やす。
オーガはドロップとなり、僕は空中から落ちる。
身体が熱くなりレベルが上がったのが分かる。
何とか『収集』で持っていた低ランクポーションを左腕に振りかける、痛みは退いたが左腕はピクリともしなくなってしまった。
痛む身体を引きずりながらドロップを回収する。
ドロップは紅のソードと魔石をドロップした。
今まで使っていた鉄の剣を『収集』し、紅のソードを装備する。
「…もっとレベルを上げないとな」
僕は先に進む、動かない左腕、ここから先は地獄のようだが僕には『焼却』がある。
戻ってもまた中村に使われるだけだ。
『焼却』を使える様になってから戦い方が変わった。
僕は僕を餌にして相手を倒す事にした。
左腕を噛ませると『焼却』を使いなんとか倒すとレベルが上がり力がついてくる。
僕は這ってでも魔物を倒していかないといけない。
「ウォォオォォ!!」
そう、生き残る為に…
ダンジョンを走り回る俺は誰に見つからずにレベルを上げていく。
レベル40で新しい『焼却』と言うスキルが出てきた。
次は何レベルまで上げればいいんだ?
もう左腕は使い物にならなくなっている。
指はなくなり座布団でも巻きつけたかの様に腕は腫れあがって繋がっているだけ。
もう痛みを感じることはないので構わない。
レベル上げの道具だ。
「ウオオォォォォォォォ!!『焼却』!」
ミノタウルスを倒してドロップで肉が出ると『収集』して『分別』し、食べる分だけ出して飢えを鎮める。
ダンジョンの65階層、まだ俺には早いが、肉が出るのがこの階層だっただけだ。
生きるか死ぬかの中で必死で生き延びる。
「…不味い」
せめて『焼却』で焼ければいいが、焼却はなにも残さないで灰になってしまうからな。
持っている素材も無駄にはできないから何かに火をつけることもなく、生肉を貪る。
ダンジョンのセーフティーゾーンで仮眠をとり、また魔物を狩りに出て行く。
もう何日ここにいるか分からないが、これがライフスタイルになってしまったな。
ステータス、
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
収集人
レベル80
スキル
収集、廃却、分別、焼却、リサイクル(new)
ユニーク
廃却ポイント 10630P
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
ようやく新しいスキルが生えて来たな。
SWS-ゴミクズスキルは万能過ぎる。 あに @sanzo
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