第3話 王城では
その頃王城の広間では、
「お前は仲間を見捨てたのか!?」
北王子が中村に大声で叫ぶ。
「ちげぇよ!お前と違って俺らは強く無いんだよ!」
と自分は悪くないとアピールする中村。
「それでも五美君を残して帰ってくるなんて!お前らそれでも人間か!!」
「やめて、ヒカル!さっさと探しに行くわよ!」
中村に詰め寄る北王子は新城に諭されダンジョンに急ぐ。
「クソッ!行こう!!」
「待てよ、俺らも探すぞ!」
「おう!多い方がいいからな!よろしく!」
「あぁ!」
こうして大捜索が行われたのだが、40階層を探すが見つからない。
広間に戻って来たクラスメイトは、
「クソッ!やっぱりあの時!」
「ヒカル…」
「俺らがもっと声をあげれば良かったんだが」
早乙女がそう呟く。
「お前が殺した」
「ち、ちげぇって!愛内!お前!」
「人殺し?」
「だからちげぇって言ってんだろ!」
そして月日は流れ、王城では北王子達、勇者組が出立してからもう半年になろうとしていた。
「けっ!良いじゃねぇかよ!」
と乱暴に服に手をかける中村、とそれを見てニヤつく中村と同じグループの
「いやっ!っやめてぇ!!」
“ドカッ”
「グアッ!」
蹴られて壁に激突する中村、それを軽蔑した目で見下ろす早乙女。
「何やってんだテメェ?」
部屋に勝手に押し入った早乙女だが強気で中村に喋りかける。
「あ?別に」
中村は座ったままで早乙女を睨み、あとの2人は知らん顔をしている。
「北原大丈夫か?…中村、自分を変えようとは思わないのか?」
中村は五美を見捨てたことでみんなから避けられていた。
またある意味見張られていたのだ。
「は?なんで俺なんだよ?意味わかんねぇこと言ってんなよ?」
凄んでくる中村だが、早乙女は一歩も引かずに中村達を見て、
「お前たちはまだ40階層も突破してないんだろ?そんな奴らに負ける男はいないぞ?」
早乙女は北王子のいない間にクラスのまとめ役になっていた。
「それは俺らが3人しかいないからだろ!1人寄越せよ!」
「誰が仲間を見捨てるやつを助けるんだ?」
軽蔑した眼差しに中村は舌打ちをして、
「チッ!行くぞ!」
「おい!待てって!」
小早川と鈴木は中村を追いかけて出て行く。
「中村、流石に俺らだけじゃ無理だって!」
「あいつに頭下げて助けてもらおうぜ?」
小早川と鈴木は頭を下げてでも助けてもらった方が良いと思ったようだが、
「は?俺らだけで十分だ!とりあえず30階層でレベル上げるぞ!」
と聞く耳持たない中村について行くしかない2人だった。
早乙女に助けてもらった
「私ここ抜けるから!」
「はぁ?あーしら別に何もしてないじゃん?」
と部屋で北原に向けられた剣に驚きながらそう言うが、
「中村があんたから買ったって言ってたのよ!」
「チッ!あの馬鹿」
と暗に自分の罪を認める今生。
「沙織、行くわよ」
「う、うん」
呼ばれて動くのは
「ちょっ!グループはどうするのさ!」
「あんたら2人でどうにかすることだね!」
北原と羽田は一緒にグループを抜けて早乙女たちの元に向かう。
「ちょっとどうすんの?英里紗」
「仕方ないから中村達のとこに行くよ!」
「え!マジで言ってんの?アイツら」
「分かってるって!大丈夫よ、利用するだけだし」
今生と
広間にあつまった6人のクラスメイト。
早乙女は5人グループに分ける為リーダーになるクラスメイト5人を呼び出した。
「とりあえずリーダーは俺、愛内、橋本、小日向、矢萩、野間で行く」
「30人だし、ちょうど良い」
と言う愛内、
「だな。5人ずつだからもっと先に進めても良いな」
ゴツい身体の
「8人は生産系だからどう分ける?」
髪の毛をかき分けながら
「メンバーのジョブで決まるでしょ?後レベルね!」
背の高い
「ち、ちょっと待って、僕らのメンバーは人見知りなんだよ?」
大人しそうな
「とりあえず5人グループは決定だ、野間は1人選んでちゃんと育ててくれれば良い!あとは話し合いで決めて行こう!」
「分かった」
「うっす!」
「了解」
「わかったわ」
「は、はい」
早乙女と5人のリーダーで残りのメンバーを牽引していく。
そこに中村達は入っていなかった。
動き出したクラスメイト達を見て中村は、
「くそ、アイツら勝手に俺らを抜きやがった!」
「しゃーないっしょ?アンタが悪いんだし?」
自分のことは棚に上げる今生。
「な、まぁ良い!こっちも5人だ!レベル上げるぞ?」
中村は焦っていた、遅れているのは自分達だけだからだ。
「あーしは知んなーい!」
「お前も協力しろって!」
今生と和田は動こうともしない。
「はぁ、だよな。とりあえずダンジョン行こう」
「だな、これならまだ五美の方が良かったわ」
睨まれるのを気にせず言うようになった小早川と鈴木はダンジョンへと向かう。
中村は1人五美を捨てた事を悔やんでいた。
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