第75話
◆
リョウは、あたしに家政婦の仕事をしてもいいと言ってくれた。
肌に染み付いた習慣は場所が違うと勝手も変わる。
掃除はリビングだけで良いと言われたのでそこはいつも綺麗にしているけれど、何よりリョウの部屋はシンプルで物が少ないからあまり仕事は無い。
料理もほぼしなくていいし、洗濯は一度で済むし…以前との違い様に戸惑ってしまう。
結局時間だけが余って、リョウが家に帰るまであたしはずっと待ちぼうけ。
リョウは決まった時間を言わないから、早く日が沈むのを待つしかない。
そんな生活が、もうすぐ二ヶ月を迎えようとしている。
段々と日没までが長くなってきて、六時を過ぎれば薄明の光が差し込む。
実は夕方からこの時間が一日のうち一番長くて、リョウに会えるまで何も手付かずに気持ちだけが逸ってソワソワしてしまう。
…口約束だけだから、本当に帰ってくるのか不安なのだ。
そもそもここはリョウの家だから帰ってくるのが当たり前なんだけど。
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