第74話

荒れた息を大きく吸い込む。乾いた息が喉に張り付いている。


まぶたを強引に開けると、あたしを覗き込むリョウの顔があった。



「大丈夫か」



背中に違和感がないのはリョウが膝枕をしてくれているからだ。


最近、あたしはリョウの胡座を枕にして、猫みたいに丸くなって寝ている。


今日は寝てまだ間もなかったのか、身体はベッドに移動されていない。


置かれた状況をぼんやりと理解している最中、リョウはずっと髪を撫でてくれていた。



「魘されてたぞ」


「うん………嫌な夢、見て」


「そうか」



なんとか身体を起き上がらせると、そのままリョウはあたしを抱き寄せた。


リョウの香りがぐっと近付くとすぐに息が整い、心が落ち着いた。



「何か飲む?」


「うん。…………ホットミルクがいい」


「分かった」



リョウが作ってくれたミルクは、やっぱり仄かに甘くって


最初は甘過ぎると思ったのに、あたしの舌はこの甘さに随分と慣れてしまった。

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