第61話

洗い物を終わらすと、リョウはあたしにホットミルクを作ってくれた。あたしがそれに口を付けるまでに、リョウは先程と同じ瓶の二本目を空にした。


静かになった部屋で、タバコを蒸すリョウの横顔をじっと見詰める。


シミもない肌、薄い唇、男の人なのに、綺麗で羨ましい。


「……何?」


こちらに目線をくべることもせず、リョウは唇を動かす。


「リョウ、二十歳なんだね」


「……あぁ」


「もっと年上だと思った」


「老けてるからな」


「老けてるというか、落ち着いてる。レオは一個上でしょ、カナメは?」


「あいつは、俺の一個上。二十一だな」


ふうん、と頷いて、頭の中に今日あった二人を照らし合わせ、年功序列でならべてみる。



「……レオに聞いた?」


「え、うん」


「他は?」


リョウの視線があたしに落ちる。やっと重なる視線。


だけど、


何をしてるのか、とか…聞くなって言われたしなぁ。


心に浮かぶ探究心をぐっと堪えて、重なった視線を外した。


「……内緒」


「は?」


「だから、内緒」


「……随分懐いたな」


懐く……?


言っている意味が全く繋がらなくて、首を傾げて覗き込むけれど、リョウは表情から笑顔を消してしまった。

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