第49話
リビングに戻ると、レオはその足でキッチンに向かった。
慣れた手つきでクローゼットから鍋を探し当て、調味料まで取り出している。踏み台がなければあたしは絶対届かなそうな場所だ。
「何してるの?」
「割り下作ってんの」
レオは綿のように柔らかそうな鰹節を片手いっぱいに掴んで大胆に鍋へ入れた。
「わざわざ出汁とって?」
「文句あんのかよ」
「いや、あたし、すき焼きのタレでしか作ったことなくて」
「あーね!あれも簡単だけど、せっかくなら美味いの食べたいじゃん?」
……美味しい、か。
今まで一人きりで余り物を食べてたから、誰かと一緒に食べるだけで美味しいけどなぁ。
…って、リョウは食べないから、あたしだけ食べてる感じだけどさ。人と一緒に食事をするのってやっぱり嬉しいんだ。
「んー?こんくらい?」
首を傾げながらレオは硬そうな昆布をカットする。
それに、人が料理している姿ってあまり見ないので新鮮だ。そもそも金髪でブレスレットやピアス何個もつけてるレオが料理してる時点でツチノコを発見したくらいの衝撃だ。
ツチノコは実在するか知らないけれど、青天の霹靂ってきっとこの事だ。
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