第48話

『夜はコンビニの弁当ばっかだけど、エマ、何か食いたいのある?』



そうして、突然、久しく言われたことの無い質問をされ、ゆっくりと天を仰ぐ。


リョウに拾われて、随分贅沢に食べさせてもらってるから、本当は何でも嬉しい。


「なんでも良いよ、コンビニ弁当美味しいよ」


『食べねぇだろ』


「でも、平気、たべれるならなんだって……」


『いいから、早く言え』



どうやらあたしが言うまで、リョウは逃がさないらしい。


そうだなぁ。……食べたいの、は。



「……………すき焼き?」


『分かった。レオに肉買って来るって言っといて』



冗談半分に言ったのに、リョウは本気の様だ。



「え、本当に?」


『食いてぇんだろ?じゃあ、また後で』



いつもの穏やかな口調のまま、リョウは一方的に電話を切った。


リョウには冗談で物を言わない方が良さそうだ。



「すき焼きー?」



レオはあたしが借りているベッドにうつ伏せに寝転んでいて、足をパタパタ動かしている。



「うん。レオに言えって」


「え、めんど。焼肉のが簡単なのに」


「ごめん…」


「肉なら何でも美味いからいっか!」



レオのめんどいは口癖なのかな、悪気はなさそうで安心した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る